中心視野ではなく周辺視野を使うことで、潜在脳機能が活性化する

0.1秒を争うスポーツでは、一般的な目の使い方では追いつけない動きがたくさんあります。

しかし、プロアスリートは理論的には追いつけないスピードに追いついており、その理由は一般とは全く違う目の使い方をしているからではないか?といわれています。

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写真はイメージ(名古屋大学運動学習研究会報告集

網膜から入った情報は一時視覚野(V1)を経由して背側経路で順次処理されるというのが一般的な見方なのですが、実際には、網膜から入った情報がV1を経ずに、中脳や小脳周辺(上丘や外側膝状体など)からダイレクトに動きを処理する高次視覚野に行くといった経路も複数存在するようなのです。

中心視というのは空間的な解像度は高いけれど、動きに対する感度は相対的に低い。一方で、周辺視はボケているけれど、動きに対しては敏感なのです。スポーツで重要なのは、中心視よりもむしろ周辺視なんですね。サッカーなどでも、視野の広さとか周りの選手の動きを見ることが非常に大事ですよね。(NTTコミュニケーション科学基礎研究所

要するに、普通の見方とは全く違う、体の反応速度を最大化するためのトップアスリート特有の眼の使い方があるということです。

江戸時代初期の剣豪、宮本武蔵も、「観の目強く、見の目弱し」と説きました。

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「目の付けようは、大きに広く付くる目也。観見二つの事、観の目つよく、見の目よわく、遠き所を近く見、近き所を遠く見る事、兵法の専也。」(五輪書)

観の目とはつまり周辺視、見の目とはつまり中心視のことではないかと思います。

相手を見るのに「目で見るより心で観よ」ということでしょう。

「観の目強く、見の目弱し」が潜在脳機能を発揮するために必要な条件なのでしょう。

剣術の世界で同じような言い回しに「遠山の目付」(えんざんのめつけ)という言葉があります。

相手と対峙したときに、相手の竹刀や打突部など一ヵ所だけを見つめたりしないで、遠い山を望むように、相手の顔を中心に体全体をおおらかに見なさいという教えです。

スポーツにおいて世界一を争うパフォーマンスを発揮している選手達は、共通した特有の眼の使い方や脳の使い方を身に付けています。

この、『潜在脳機能』とでもいうべき脳の活用方法を経営においても取り入れるべきではないかと思います。

人間の意思決定コミュニケーションにおいても、潜在脳機能が非常に大きな割合を占めていることがわかってきました。たとえば、私たちが何かを買おうと決めたり、あっちよりこっちのほうが好きだと感じたり、ハッピーだと思ったりすることも、その原因を明確に自覚できていることは非常に少なくて、しかも本人が思っていることが本当の原因ではない場合が多いのです。じつのところ、こうした感情や意思決定は脳の潜在的な状態に左右されていて、「買いたい」とか「幸せだ」といった意識は後付け的な解釈にすぎない、ということがわかりつつあります。

—人間の行動というのは、意識してやっていることよりも、無意識に、無自覚的にやってしまっていることのほうがはるかに多いと……?

柏野 そうなんですね。そこで我々は、それらの潜在脳機能がどのように私たちの身体の反応(眼球運動や瞳孔径の変化、発汗、心拍など)に表れるか、つまり人間の身体を外から見たときにどのような変化として起こるのかを探ってきました。こうした反応は潜在脳機能と関わりが深い自律神経系※1や内分泌系※2の活動によって起こる変化であり、これらの変化を捉えることで潜在脳機能のプロセスの解読をしてきたのです。

そうした中で、じつはスポーツこそが、潜在脳機能のプロセス解明のカギを握る恰好の対象になり得ることに気づきました。先にお話したように、スポーツには瞬時の判断、すなわち潜在脳機能の役割が欠かせませんからね。

勝てる脳の鍛え方(NTTコミュニケーション基礎科学研究所)

ものを購入するときも、購入する際はなぜ買ったかといわれれば、「なんとなく」買うでしょうし、買わないときの理由も「なんとなく」嫌だから買わないですよね。

この「なんとなく」という潜在的な脳の意思決定に関して、

自律神経系や内分泌系の活動の変化とのかかわりが深いということです。