鼓腹撃壌(こふくげきじょう)の経営

歴史書である『史記』「五帝本紀」によるとその昔、(ぎょう)という君主がいた。

「その仁は天のごとく、その知は神のごとく」あがめられたそうだ。

天下を治めて50年が続いたある日、

堯はあまりの平和さに、天下が本当に治まっているか、自分が天子で民は満足しているか、かえって不安になった。

そこで、目立たないように変装して家を出て自分の目で確かめようとした。

ふと気がつくと子供たちが、堯を賛美する歌を歌っていた。これを聴いた堯は、子供たちは大人に歌わされているのではないかと疑って真に受けず、立ち去った。

ふとかたわらに目をやると、老百姓が腹を叩き、地を踏み鳴らしながら(=鼓腹撃壌)楽しげに歌っていた。

「日の出と共に働きに出て、
日の入と共に休みに帰る。
水を飲みたければ井戸を掘って飲み、
飯を食いたければ田畑を耕して食う。
帝の力がどうして私に関わりがあるというのだろうか。」

この歌を聴いて堯は世の中が平和に治まっていることを悟ったという。

「鼓腹撃壌 十八史略」原文

『現代語訳』
帝尭陶唐氏(ていぎょうとうとうし)は帝嚳(ていこく)の子である。
その仁は天のように広く、
その知恵は神であるかのように、人並み外れていた。
近づいてみると、その心は太陽のように温かく。
遠くから見ると、雲が大地を覆い、
恵みをもたらすかのように偉大であった。
平陽(へいよう)の地に都を置いた。
宮殿の屋根はかやぶきで、その端を切りそろえておらず、
宮殿へ上る階段は、土で築いた三段だけであった。

天下を治めて五十年が経ったが、
天下が平安なのか、平安でないのか、
万民が自分を天子としてあがめることを願っているのか、
願っていないのか、わからなかった。
側近に聞いたが知らず、外朝(がいちょう)に聞いたが知らず、
民間人に聞いたが知らなかった。
そこで目立たない服装をして大通りを出歩いた。
童謡を聞くとこのように歌っていた、
「私たち民衆を無事に生活できるのは
すべてあなたの立派な徳のおかげです
知らず知らずのうちに 帝の法に従っています」
老人がおり、食べ物を口に含み腹つづみをうち、
足で地面を踏み鳴らして拍子をとりながら、
このように歌っていた、
「日が昇れば耕作し 日が沈めば休息する
水が飲みたければ井戸を掘って飲み
食べ物を食べたければ田を耕す
帝の力が、どうして私に関わりがあろうか」

尭が帝位について七十年経ったころ、
九年間洪水が続いた。
鯀(こん)にこれを治めさせようとしたが、
九年経っても功績が上がらなかった。
尭は年老いて政治に疲労した。
四岳(しがく)は舜(しゅん)を推挙して、天下の統治を代行させた。
尭の子である丹朱(たんしゅ)は親に似ず愚か者であった。
そこで、舜を天に推薦し、後継者とした。
尭が崩御して、舜が即位した。

鼓腹撃壌(こふくげきじょう)の経営

本当に大切なことは当たり前すぎて、さほど目立たず、なくなったときにその大切さに気づくような類のものではないでしょうか?

police museum

行政警察は予防を以て本質とす。すなわち、人民をして過ちなからしめ、罪に陥らざらしめ、損害を受けざらしめ、以て公同の福利を増益するを要するなり。ー川路利良述「警察手眼」より

鼓腹撃壌をわきめに見て安心しているような、そんな経営者がよい経営のひとつの形であるような気がします。

鼓腹撃壌

おなかが一杯になった赤ちゃんが、ぽんぽんと膨らんだおなかを叩き足踏みしてよちよち歩く姿を眺めるような頬が緩む経営がよいですね。

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ヘルスィーTANA☆AKK

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